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これからは、「副業」ではなく「複業」。

2018.9.1

前回の記事「私が小学館を辞めてOLタレントになった理由」では、改めての自己紹介ということで、私が会社を辞めてパラレルキャリアを始めたきっかけをお話しました。

そこで、今日は「副業」について書こうと思います。

そもそも、私が小学館を辞めることになったのは、副業が禁止されていたことが一番の理由でした。
「仕事を1つに絞りたくない」という私の想いを形にするには、辞めるしかなかったのです。

ただ、これは別に小学館に限ったことではありません。
ベンチャー企業や一部のIT企業などを除き、日本のほとんどの企業は就業規則で副業を禁止(不動産などは別)しているのが一般的です。

ところが、時代は変わりつつあります。

働き方改革が叫ばれる昨今、特に2018年の今年は「副業解禁元年」とも言われ、新生銀行やユニ・チャームなどの大企業が副業を許可するなど、「副業」がたびたびニュースになっているのを目にします。
私が会社を辞めた4年半前はまだまだそんな兆しはなかったので、この変化は素直に嬉しい・・・。

ただ、同時に違和感も感じています。
というのも、私にとって「ふくぎょう」とは、「副業」ではなく、「複業」なんです。

「副」って、「二次的」「副次的」という意味合いが含まれますよね。
「副業」という字を見ると、「本業」があって、その補佐的・補完的な位置付けとして「副業」がある、という印象が強くなってしまいます。
でも、私の考える「仕事を1つに絞らない」というのは、そういうことじゃないんです。

私にとっての「ふくぎょう」とは、仕事が複数ある「複業」です。

私がパラレルキャリアと言っているのも、パラレルというのが「平行・並列」を表す言葉だから。
どちらかを副次的になんて、考えていないのです。

 

「副」と決めるのは、誰?

そもそも、「副」って、一体何を以って「副」なんでしょうか?

稼ぎの問題?
でも、そんなことを言ったら、たとえば株などで大きく儲けたら、それが本業ということになるんでしょうか?
誰も、人の仕事を「副」だなんて決められないと思います。

決めているのは、誰でもなく自分自身。

つまり、気持ちの問題ですよね。

私は、自分のタレントの仕事と編集やPRの仕事、どちらかを副次的な仕事だなんて思っていません。
よく、「どっちが本業なの?」とか聞かれることがあります。
キツい言い方になりますが、正直、そもそもその質問をすること自体、視野が狭く、ナンセンスだと感じます。

なぜ、本業を1つにしなきゃいけないんでしょう?

もちろん、企業目線では、副業解禁をすることで自社の仕事へのパワーが分散することを怖がる気持ちはわかります。
でも、本業あっての副業だとすると、副業の意義って、すごく狭くなりませんか?

単純に「ちょっとお小遣いが稼げる」「趣味の延長線」くらいの意味合いしか持てません。
政府の言う働き方改革って、そんな程度のものなんでしょうか?
そうなってしまうと、「副業解禁」なんて本末転倒だと私は感じます。

お小遣いを稼ぐのは別に良いと思いますが、副次的な気持ちでやっているなら、それを成功させたり、稼ぎに繋げることはそもそも難しいと思いますしね・・・。

私は本当の「ふくぎょう」の意義はお金ではなく、もっと別のところにあると考えています。

 

肩書きが複数あるのは当たり前

仕事になると、肩書きが複数ある人のことを急にスゴイと思いがちですが、そもそも、人はいくつのも肩書きを持ちながら生きています。

人生全体で見れば、誰もが
「娘/息子」である自分。
「友だち」である自分。
「恋人」である自分。
「親」である自分。

などなど、いろいろな人やコミュニティのなかで、異なる肩書き(立場)として関わりながら、生きています。

そのなかで、どれが「本業」(本物)なのか、なんて考えることはありますか?
すべて合わせて、「自分」ですよね。

だから、複数の肩書きを同時に持つことは人間、誰しも可能なんです。

これは場所が仕事に置き換わっても、同じことだと私は思います。
すべての仕事を合わせて、「私」がいるんですから。

異なる仕事を複数持つことは、一見、いろいろなことに手を出して中途半端に思えるかもしれません。
でも、私はタレントと編集やPRの仕事は繋がっていると思っています。
あらゆる場面で、一方で気づいたことを、もう一方で活かすことができて、相乗効果が生まれているのを実感しているからです。

そして、スティーブ・ジョブスの点と線の話ではないけれど、「自分を生きる」うえでは、どんな仕事同士でもこの相乗効果は生まれていくと思うのです。

本当の意味での「ふくぎょう」とは、単純に別の仕事を増やすことではありません。
もともとやっていた仕事(ないしは、自分の人生、自分自身)をさらに成長・充実させるためにあるものだと思います。

この考え方が広まらない限り、いくら副業解禁が叫ばれても、心からは喜べないのが正直なところ…

「副業」ではなく、「複業」という考え方が少しでも広まるよう、私自身もこの生き方の発信をもっと積極的に行っていかなければ、と思うのでした。

坪井安奈

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